2017/12/27 22:38 ~ 翌1:36 今年の音楽すきなの順
あくまでも好きなの順です
3日前くらいにスプラトゥーン買いました スゲ〜面白い 時間がどんどん溶けるね
20.Clark / Death Peak
Clark御大のニュー・アルバムです 良い音のみが使われているので、良いアルバムになるのが自明の理 各音が主張し合いながらも溶け合って一つの巨大な布を織るかのような圧巻のサウンドデザインは本作品でも健在です キックの出方が気持ちよすぎです
個人的には2曲目の「Butterfly Prowler」が1番アガります
19.入江陽 / FISH
日本の音楽界にはよう分からん人がたくさんいますが、その中でも特によう分からん音楽家入江陽の新作ですが、前作「SF」より更によう分からんくなっていました
SSWと括るには幅が広すぎる現代のシーンとも呼応するサウンドデザインに独特のユーモラスなコンポジションが絡み合っており不思議なバランス感を作り出しています
特に5曲目の「何がしたい feat. 黄倉未来 & 木田ガクヅケ」は一聴の価値があると思います 「な〜に〜が〜し〜た〜い〜ん〜だ〜よ〜」と緩く歌われるコーラスラインにラップとも語りともつかない2人のゲストの声が入ったかと思えば、突然かなり確信的な和音進行が出てくる落差の激しい曲です ちゃんと踊れる曲になってるのがすごいですね
18.PARKGOLF / REO
れお〜!みんな大好きインターネット音楽シーンの要、三つ編みおじさんことPARKGOLFの2年ぶりとなるオリジナル・アルバムです やはり何と言っても特徴なのは彼にしか出せない可愛らしく懐古的でありながら先進的でもある音色ですが、今回はそれが更に洗練されアップデートされた印象を受けました より都会的になったと言えるでしょうか
おかもとえみ、一十三十一などのゲストも迎えながら、明るく気持ちいいポップソング、しっとりと染み渡るような1曲、しっかりアガるダンス・チューンも並べられており、彼の作曲家としての幅広さ、多才さ、視野の広さを改めて確認させられる1枚でした
れお〜
れおれお
17.CRCK/LCKS / Lighter - EP
音楽高学歴の錚々たるメンバーによって構成されるCRCK/LCKS(クラックラックス)のEPなんですが、もう1曲目の「Get Lighter」が素晴らしすぎるんですよね!!!!この曲を今年のベストトラックに挙げられる方も沢山いるのではないかなあと思います
テーマ→ソロ→テーマというジャズのパターンをポップ・ソング上で解釈し直すような構成でありながらまったく難しくなく、とにかく爆アガりなんですよね テーマがかっこよすぎ 良すぎて語彙が無くなる
もちろん1曲目で終わり!というようなやわなEPではなく、その後の曲も名曲揃いです このEPは気に入る方多いと思うので絶対に聴いてください
16.OSAMU SATO / ALL THINGS MUST BE EQUAL
伝説的ゲーム「LSD」のデザイナーとして知られる佐藤理、彼の音楽作品では19年ぶり(!)の新作です
これは…その…何て言ったらいいんですかね…この…何と言いますか…その…
聴け!
15.Breast Fist / Amuse Deuce
これもよく分からん!聴け!
14.Cosmo Pyke / Just Cosmo EP
イギリスの何と18歳の俊英コスモ・パイクのデビュー作です ずり〜 マジで鬱になる
彼ほど「スムース」とか「ゆるさ」みたいな言葉が似合う人は今の音楽シーンにいないのではないでしょうか もうやだな 鬱になってきた やめようかなこれ
13.Kamasi Washington / Harmony of Difference
現代ジャズにおいて最重要と言っても過言ではないサックス奏者/作曲家であるカマシ・ワシントンの新たな傑作です
超絶技巧をもつ奏者として注目されがちな彼ですが、今作では彼の作曲家としての才能に存分に触れられると思います 1~4曲目で演奏されたテーマが13分を誇る大作、5曲目の「Truth」で回収される構造はクラシックにも通じるものがあり、聴いていてまったく飽きません 非常に陶酔的で狂気に落ちそうなところをギリギリで立っているようなアルバムで初めて聴いたときは泣いてしまいました すごいね〜カマシは
年間ベストにこれを挙げられる方もいるのではないでしょうか、近年はMETAFIVEでの活動も目覚しいCorneliusこと小山田圭吾の待望のニュー・アルバムです
「Point」「Sensuous」で見せたサウンドデザインの妙は今作では控えめになり、代わりに小山田自身の歌に焦点が当てられており、特に1曲目である「あなたがいるなら」はこれまでのコーネリアス・サウンドとこれまでは隠され気味だった彼の声によるエモーションが完璧にマッチしてここに来てまだ新たな地平を切り拓くのか…と脱帽です
個人的にはこの作品は小山田圭吾の遺書ではないかなと思います
11.Hans Appelqvist / Swimming Pool
前述の佐藤理、Breast Fist以上に今年最大の訳分からん枠です
まるでこちらを嘲笑うか試すかのようなサウンドとコンポジションは現代音楽とも共鳴しながら唯一無二の音楽を作り上げています 本当に何なんだこれ
ふざけているのかとも思えるような1枚でありながら類稀なる時間感覚=大きな意味でのリズム感と曲順なども含めた作品としてのデザインは同シーンの音楽家の中でも群を抜いています ここまで「通して聴かないと意味が無い」作品を他に知らないかもしれません
10.神様クラブ / ワンダホ
最高!!!!!!!!!ア、すいません、感情が…
男女二人組による可愛らしさと毒々しさを併せ持ったユニット神様クラブのデビュー作です このアルバムでは他のどの音楽とも似つかないような音色の配置と独特の色を持った声が絡み合いながらも聴きやすいポップソングとして機能しており、それやったら反則だよ〜もう〜みたいなものの連続です
特に2曲目の「N°5」は全面的にボサノヴァの要素を取り入れており、ともすれば飛び道具的で音楽的な内実が伴わなくなってしまいがちな「電子音楽×民俗音楽」を彼らにしかできない形でアップデートしていて最高です
9.Vijay Iyer Sextet / Far From Over
テンション上がってきた 独特の低音を増強するような和音と狂ったリズム感で有名なスーパー・ピアニスト ヴィジェイ・アイヤーーーーーーーーの新作です 今回はセクステット!トリオが評判ですがこれもいいですね
今作では彼の代名詞とも言える感覚の隙間を縫うようなリズムも健在でありながら、セクステットならではのコンポジションの妙も存分に味わえます 彼のエッセンスはいくばくか弱まっていますが、代わりにトリオより聴きやすくなっていてかなりいい塩梅に落ち着いているなあと感じます
アイヤー以外にもスティーブ・リーマン、グラハム・ヘインズ(今作には彼のエレクトロニクスも深く影響しています)、ステファン・クランプと凄腕揃いです 1曲目「Poles」は提示的であり、かつこのメンバーによる妙技を堪能できて非常に素晴らしいです
8.大西順子トリオ / Glamorous Life
日本を代表するジャズ・ピアニスト大西順子がトリオ作品「Glamorous Life」、バラード集「Very Special」の2枚組としてリリースを行い、どちらも素晴らしいのですが個人的にはこっちをよく聴いていました
菊地成孔を迎えて作られた前作からの現代ジャズ的な曲目も多数ありながら、大西順子の高温でこちらに肉迫してくるような圧巻のピアノ・プレイは今作でも健在です 原始的な力強さと知的な曲の融合は意外となかったな〜!というバランスのところを突いてきており、と思いきや5曲目「Tiger Rag」という古典的ナンバーで純粋なジャズへの愛やアート・テイタムへの敬意(これは本人が語っていました)を表しているところが憎いですね
7.tofubeats / FANTASY CLUB
もうすっかり大御所になってしまった、いえなるべくしてなったんですが、トーフビーツ御大の新作です この方向性は予想していなかった方が多いのではないでしょうか
彼自身も前作「POSITIVE」では「ポップなものを狙って作った」と語っており、このまま親しみやすいポップソング路線で行くのかなあと少しばかり寂しい気持ちにもなっていましたがここに来て玄人向け(と言ってはなんですが)なハウス・ミュージックからの影響色濃い楽曲群!
とはいえリスナーを置き去りにするようなものではまったくなく、前作までの雰囲気もしっかり残しながら音楽シーンや聴衆を引っ張っていくような確かな信念に基づいて鳴らされており、煙のようなミニマルでありながら可愛らしさに溢れた表題曲「FANTASY CLUB」、半音階的調進行による無限に上昇していくかのようなトランス感が心地いい「THIS CITY」、マジで大好き、かかると絶対に泣く「WHAT YOU GOT」など名曲揃いです
このアルバムが出て本当によかったです エモで言ったら2017年1番でした
あのパーカー流石にアツすぎないですか?
エモ死
6.DV-i / Research + Development
今年訳分かんないの出過ぎなんだよな〜勘弁してほしい
5.Thundercat / Drunk
人が溺れてるぞ!助けろ!ジャズ/ソウル/R&Bなど幅広い音楽性を持ちながら誰も意図しなかった方向にポップに纏め上げる天才ベーシストサンダーキャットのアルバム、今年度ベストに挙げている方も何人かいました
2~3分の短い暴力的な曲が間髪入れず襲いかかってくるような作品で、聴いていると殴られているような気分になります 4曲目「Bus In These Streets」、11曲目「Blackkk」、12曲目「Tokyo」(MVでは実際に東京を歩いている彼が見れます)、表題曲「Drunk」など聴きやすいポップなナンバーも用意されていて飴と鞭です 特に4曲目なんて和音と旋律の絡みが美しくて普通に泣けますよ 何でだよ お前で泣きたくないよ
3曲目「Uh Uh」のように彼が紛れもない天才奏者であることを思い出させるような曲もあり、詰め合わせ的なアルバムではあるんですがやりたいこと全部やりました!というような感じでもない不思議な作品です 何にせよ体力は必要なので覚悟はしてください
4.Ambrose Akinmusire / A Rift in Decorum: Live at Village Vanguard
個人的に現代ジャズの中でおそらく1番好きなトランペット奏者アンブローズ・アキンムシーレのライブ・アルバムです
彼のトランペットは本人も語っているようにしばしば女性の声に例えられますが、今作はそれが1番よく分かる作品になっているのではないかと思います
どこまでも冷ややかで一定なバッキングに特殊奏法を多分に応用したアキンムシーレのソロが確かな温度を与え、思わず泣き出したくなってしまうような感情を引きずり出してくる3曲目「Moment In Between the Rest」は必聴です 彼のソロを聴いた後はまるで短い小説を読んだかのような感覚に陥ります
音楽は時にわたしたちがいくら言葉を尽くそうとも語り得ない感情を表現しますが、今作も間違いなくその一つであろうと感じます なるべく多くの方に聴いていただきたいですね
3. Fabian Almazan & Rhizome / Alcanza
キューバ出身でNYを拠点に活動するジャズピアニスト、ファビアン・アルマザンと彼のトリオ+弦楽四重奏「リゾーム」という編成で作られた今作は11月の終わりに友人から教えてもらったんですが、これまで自分がアルマザンを知らなかったのがかなり恥ずかしくなりました
このアルバムはとにかく狂っているという言葉が相応しく、濁流のような和音とリズムによって進行する1曲目から幕を開け、急にロマン派の音楽のような美しい旋律が姿を現したかと思えば、破壊的なサウンドで鳴らされる曲もあったりと、後々の展開の予想が付かず非常に刺激が強いです
アルマザン本人がインタビューで語っているように彼はラヴェル、ストラヴィンスキーなどのクラシック音楽からの影響も色濃いようで、それ故か今作はカマシ同様全体を組曲として捉えた方がいい作品だと感じます(実際タイトルにも「組曲」って付いてます) 極端な温度差のギャップが現実感を無くしていき、最後に最初の夢想のようなリズムで終わる流れは圧巻としか言いようがありません
2.Nai Palm / Needle Paw
ハイエイタス・カイヨーテのフロントマンであるネイ・パームのソロによる今作、主軸としては弾き語りであり初聴時はハイエイタス・カイヨーテとは違ったどちらかというと落ち着いた方向性を見せてくれるのかなと思い聴いたのですが、これはまったくの勘違いでした
まず確信したのはハイエイタス・カイヨーテというバンドはネイ・パームの拡声器であるということです それほどまでにこのアルバムで彼女が見せた音楽性は底が見えないほど深く、それはまるでうっかり覗き込めば首ごと持っていかれそうな暗い穴のようです
ギター演奏と声、そしてその加工という三要素だけでこれほど深く広いものを表現した人物、作品は過去になかったと思います この作品で非常に重要なのはいわゆるアコースティック音楽的になっていないということです 明らかに多重録音/コンピュータによるエレクトロニクス処理の技術無しでは成立しないものになっており、それはあらゆるサウンドの氾濫、多様化が進んでいる現代においてもっとも重要なものであるかと思います 人間の演奏をコンピュータが増幅し、歌唱もエフェクトの効果を最大限引き出すようなものになっており、いわゆる「宅録」の最も洗練された形と言ってもいいものでしょう
今後の音楽シーンにおいてネイ・パームの存在は絶対に避けて通ることができないと確信させるだけの底の知れない天才であり、ジャンルを問わずあらゆるミュージシャン、リスナーが聴いておくべき現代のマスターピースであることは疑いようがありません
1.Visible Cloaks / Reassemblage
ポーランドを拠点として活動するスペンサー・ドランとライアン・カーライルによるユニット、ビジブル・クロークスによる1枚です
全編に渡り水のような質感を持ったチープであるともそうでないとも言い難いサウンドにより至高のアンビエントが鳴らされます おそらく今年1番回数を聴いたアルバムだろうと思います
限定的な音階(4曲目まではほぼ黒鍵の音__Cis,Dis,Fis,Gis,Ais__しか使われていません)が回転のような感覚を生み出し、それが程よい停滞と刺激を作ります
またこの作品では非常に印象的に「無音」が使用されています 「無音」というのは音楽の最も根源的なパラメータであり、最も大きなオン/オフスイッチであると言えます ころころ、とろとろとした音が自由に空間を駆け回った後に不意に蔭のように落とされる無音は、まさにケージの音楽や日本的な間の美意識とも呼応しこの世に存在するどのような音より大きいインパクトを与えます
本当の意味で無限に聴ける作品であり、あまりに瞑想的で美しい音風景はまるで意識を失うことを肯定するかのようにゆっくりとした旋回を続けます